学校法人山口学園 広域通信制課程[単位制]総合学科 ECC学園高等学校

Interview

Students Interview

在校生・卒業生インタビュー

瀧川先生(京都学習センター長)

心の壁を急いで越えない。
その子が安心して進める距離を大切に。

「心配性」は、「慎重に進められる」強みになる。
本人もまだ知らない「いいところ」を、一緒に見つけられるように。

卒業式の朝、ある生徒の保護者の方から声をかけられました。「先生に言ってもらった自分の長所を、家でもよく話していたんですよ」。私にとっては何気なく伝えた言葉でした。でも、その言葉がその子の中にちゃんと残り、励みになっていた。それを知った時は、本当にうれしかったですね。
受験指導では、生徒自身もまだ気づいていない「いいところ」を、一緒に見つけることを大切にしています。 「心配性」なら、慎重に物事を進められる人。「高校生活で頑張ったことはレポート」と聞けば、どのように取り組んできたのかをもう少し聞いてみる。予定を立てて進めていたなら、それは立派な「計画性」です。
自分の良さは、意外と見えにくいものです。だからこそ、第三者目線で本人とご家族がまだ言葉に出来ていないものを見つけて、渡したい。それが、自分を信じて次へ進む小さなきっかけになればと思っています。

ごく普通の高校生だった私が、生徒と関わる面白さを知るまで。

高校時代の私は、アルバイトをしたり、友達とアニメのイベントやカラオケ、ゲームセンターへ行ったりする、ごく普通の高校生。教員を目指していたわけでもありません。そんな私が「人を支える仕事」を意識したのは、大学時代の留学がきっかけです。現地のコーディネーターに助けてもらい、「自分のような学生を支える仕事も面白いかもしれない」。そう思ったのが、最初の一歩でした。
ECC学園高校に入った当初は、通信制高校について知っていたつもりでも、自分が過ごした高校生活との違いに、少し戸惑うことも。生徒それぞれの個性に触れながら、関わり方を考える日々でした。転機になったのは、入職して約1か月後の宿泊スクーリングです。生徒と一泊二日を過ごすことに不安もありましたが、実際は想像以上に楽しくて。レポートに向かう姿しか知らなかった生徒が、体育に夢中になったり、思いがけない話をしてくれたり。「この子、こんな一面があるんや」と何度も驚かされました。この体験を通して、ECC学園高校の生徒と関わる面白さを知ることができました。

心を開くことも、前に進むことも急かさない。その子のペースで進めるように。

京都学習センターへ着任した頃は、こちらから声をかけても返事は短く、距離を感じる生徒もいました。だからといって、無理に踏み込もうとはしませんでした。
その子に合わせて声をかけながら、負担にならない近さで、日々そばにいる。そうして過ごすうちに少しずつ会話が増え、学校であったことも、自分自身のことも話してくれるようになりました。
京都学習センターは、ワンフロアで完結する小さな校舎です。生徒と教職員がお互いの様子に気づきやすく、担任だけではなく「この先生なら話せそう」と思える相手を見つけやすいところも、この校舎らしさだと思っています。
ただ、生徒との距離は、近ければ近いほどいいとは考えていません。頼ってもらえることはうれしい。でも、「この先生がいないと何もできない」という関係にはしたくないんです。 困った時には支える。守るべきルールは一緒に確認する。でも、何でも先回りはしない。高校を卒業したあとは、いつも誰かが隣にいてくれるとは限らないからです。だからここで過ごす間に、自分でできることを一つずつ増やしてほしい。
心を開くことも、自分でできることを増やすことも、急がなくていい。その子なりのペースを見守りながら、自分の力で歩いていけるように。そこまで考えて関わることが、私の役割だと思っています。

一言メッセージ

学校に不安がある人に、最初から何でも一人でできるようになってほしいとは思っていません。できることから少しずつ。困った時には、もちろん頼ってください。
京都学習センターにはいろいろな先生がいます。「この先生なら話しやすいな」と思える人が、一人でも見つかればうれしいです。そしていつか、「前は誰かに聞いていたけれど、これは自分でできるようになった」と思えることが少しずつ増えていく。そんな高校生活を、一緒につくっていけたらと思っています。

―取材の余白―

瀧川先生の周りには、いつもどこかゆったりとした空気が流れているように感じます。
トーンや言葉の選び方、物腰もやわらかく、ご自身でも「とにかく争いごとが嫌いで、できれば常に凪いでいたい」と話されるほど、本当に穏やかな先生です。そんな先生の空気感も、京都学習センターのあたたかな雰囲気につながっているように思います。
私自身、瀧川先生のことを、これまでも「穏やかで、やさしい先生」だと思っていました。
けれど今回の取材で初めて知ったのは、そのやわらかさの奥にある、ぶれない考えでした。
「無理に距離を縮めなくてもいい」、「自分でなくても、気の合う先生に出会えたらいい」。
そして、「先生がいないと何もできない状態にはしたくない」。
ただそばで優しく寄り添うのではなく、いつか学校を離れ、その先を自分の足で歩いていくところまで見据えている。
瀧川先生の穏やかさは、生徒自身の力を信じて見守る、静かだけれど芯のあるやさしさなのだと、今回の取材で改めて感じました。

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